ブログ
土壌の生物性
昨年の夏、小学5年生の皆さんに微生物ってどんなイメージ?とたずねました。
「きたない」「ばっちい」「バイ菌」「気持ちわるい」・・・
どんどん出てくるネガティブな印象。
新型コロナウイルス感染症が5類に移行したばかりで、当然とも言える反応です。
マスク着用義務は緩和されたものの、街なかでは外している人が少ない時期でした。
「からだ全体、お腹や口の中でも沢山の微生物がいるよ」と言った時には、思わず怖がった生徒もいました。
嫌悪感や汚物的な印象がこれほど強いのは想像以上で、私の発言は子供たちにとって配慮不足だったようです。
そのような反省も含めて日記につづることにしました。
微生物って「目で見えないくらい小さな生き物」を指します。
悲しく言い換えれば、「ふだんは存在感のない生き物」になるでしょう。
2023年末IUCNレッドリスト「絶滅のおそれの高い種(絶滅危惧種)」は大部分が動物・植物で、微生物は0.736%とされている。
未知の微生物が大部分(99.9%以上とも言われる)なのに、この数字はどう理解すればいいでしょうか。
はかり知れない数の微生物の種が、この地球から姿を消していると思われます。
人や環境に安全とされる化学農薬ですが、微生物に影響を及ぼさないとのエビデンスも示してほしいところです。
農業の土作りで重要な事は、土壌の物理性・生物性・化学性の三つの要素を整えることです。
私が有機栽培をはじめてしばらくの間、生物性は限られた微生物にのみ配慮しがちでした。
それでもなんとか化学合成農薬不使用は実現しましたが、ミネラルや窒素の減少が激しすぎると感じていました。
土壌分析により施肥をしても収穫後の分析数値が予想以上に低下。
機会あれば様々な先生方に尋ねましたが、砂地でもあり "肥料の流亡" が共通した答えでした。
私は微生物の持ち逃げも原因ではないのかと思い、探索しましたが見当たらずにいました。
明らかに改善してきたのは、ここ数年前からです。
有機肥料と堆肥原料も含めた、『投入する有機物の多様化』を進めることにしました。
これだけで大きな感触を得られるようになりました。
土壌分析していると、以前より施肥効率が良くなったのがわかります。
栽培期間中もミネラルがすぐには不足せず、しっかり効くようになりました
気付きは以前から取り組んでいる不耕起・無施肥で自然農法のように栽培する畑です。
圃場一帯には、野菜残渣の葉物・ネギ・いも類、雑草、剪定の枝・葉、落ち葉、米ぬか、もみ殻、かんきつなど。
そのまま周囲に積み置くとか、草抑えにするなどしています。
土はふかふかで支柱を立てても作物と共に沈むので、少し工夫が必要です。
ミネラル不足の傾向はなく、苗が成長すると害虫の影響もほとんど無くなります。
そこでは必要な物理性や化学性、生物性まで確保されているようです。
有機栽培の畑にはリグニン・デンプン・ポリフェノール等、できる事から徐々に応用してきました。
不耕起の畑と同様に、施肥効率は確実に向上していると思います。
これから検証も必要ですが、ある有機物を堆肥発酵に利用することで害虫の減少も実感しています。
最近では土壌微生物種の同定も可能となっており、できれば確認したいところです。
手に入る有機物は色々ありそうで、適した投入方法を探りながら活用を拡げていきたいと思っています。
余談になりますが殖彩の生姜栽培において、生の醬油カスが一番欲しい有機物です。
徳島県内でなにか情報がありましたら、ご一報頂ければ非常に助かります。