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2024/09/16

地球温暖化の要因

もう9月中旬なのに夏の終わりを感じない。そしていつもの夏と比べて、暑さの感じ方が違う。

今年は身体表面のジリジリと灼けるような感覚が強く、陰に入るだけでホッとすることも多い。

百姓の実感として紫外線量が多くなっていると感じたので、気になっていたことを調べました。

 

一般社団法人日本地球化学会のホームページに、地球化学Q&Aという項目があります。

http://www.geochem.jp/qanda/qanda.html

ここでは環境科学、大気化学などをていねいに分かりやすくまとめてあります。

 

Q 温室効果気体(二酸化炭素など)の大気中濃度が増えて問題となっていますが、

   他の気体の濃度は一定なのですか?それはなぜ?

ずつと気掛かりだった事をこの回答の中に見つけました。

切り取った一部だけの引用です。

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また近年分析技術が進んだ結果、大気中の酸素濃度が二酸化炭素濃度の増

加に呼応して減少していることが確かめられました。

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ホームページから全記述を読んでいただきたいところですが、大気中酸素濃度の減少を捉えた内容に私はやっと出会えることができました。

森林の減少や緑地開発、化石燃料の使用拡大、海洋における光合成低下など酸素濃度減少の要因がこれ程増大しているのに、色々と開示されているデータ上では、なぜか大気中酸素濃度は21%に維持されていることが不思議でならなかったからです。

もっとメディアで扱われるべきと思うのですが、残念ながら今のところ他に見当たりません。

 

Q大気中のオゾンは増えると困るの? それとも減ると困るの?

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 一方、対流圏に存在するオゾンは、光化学オキシダントの主成分であり、

温室効果気体でもあり、さらに酸性雨などの酸性沈着物の生成に関わって

います。今日対流圏オゾン濃度は増加傾向にあり、地球表層環境を考える

上で危惧すべき問題です。

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酸素濃度が低いと成層圏オゾン濃度は低下し、その分対流圏で増加します。

生物や環境に悪影響をもたらす対流圏のオゾン濃度増加を明らかにしています。

 

 一方で東京大学、田近 英一教授の講演内容、「地球史における大気中酸素濃度変遷と生物進化」の紹介サイトがあります。

素晴らしい内容ですので、是非こちらも参照してください。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/medicalgases/24/1/24_1/_pdf

 

まとめ部分のみ引用させていただきます。

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       地球と生命の共進化

 地球史を通じて大気中の酸素濃度は,約 24 ~ 21 億年前と約 8 ~ 6

億年前の 2 回の急激な上昇イベントを経験した。それらの時期には,全

球凍結イベントも生じており,両者に何らかの因果関係があることが疑

われる。また,酸素濃度の特性時間が数百万年程度であることを考える

と,数億年以上にわたって,酸素濃度がほぼ一定のレベルに維持されて

いるようにみえることは,それらが安定レベルであることを強く示唆す

る。ただし,その安定化メカニズムは必ずしも完全に解明されているわ

けではなく,現在の酸素濃度を決めている仕組みの根本的な理解には至

っていない。

 しかし,酸素濃度の変動は生物への影響が大きく,ときには大量絶滅

の原因となっただけでなく,適応進化を促す重要な駆動力となってきた

ようにもみえる。酸素は,物質循環や大気光化学反応など,大気組成や

海水組成を含む地球表層の酸化還元環境を大きく変化させた。酸素は生

物自身が作り出したことを考えると,まさに生物が地球環境を変えたと

いうことになる。そして,その新しい環境に適応進化することによって

,生物はより複雑に進化してきた。

 酸素に関する問題は,地球環境と生命が互いに影響しあって進化して

きたという地球環境と生命の共進化の代表例である。それと同時に,宇

宙に第二の地球を探索する現代天文学あるいはアストロバイオロジーか

らみても,きわめて重要で本質的なテーマであるといえる。ハビタブル

な(生命が生存可能な)惑星環境の特徴やその進化を理解する上で,生

命活動や惑星環境と生命の共進化の理解は欠かせないといえるだろう。

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一般に地球温暖化が語られるとき、酸素濃度に着目した研究になぜか触れることがありませんでした。

ここでは直接の言及では無いものの酸素濃度低下と大量絶滅、その先の生命の進化と酸素濃度の上昇が間接的に地球温暖化の要因を示していると私は考えます。

このまとめ中の、「酸素に関する問題は,地球環境と生命が互いに影響しあって進化してきたという地球環境と生命の共進化の代表例である」ことが具体的かつ詳細に示された内容で感銘を受けました。

是非、多くの方に読んでいただきたいと思います。